スノーボードのセットバック|効果とスタイル別の目安
セットバックという言葉を聞いたことはあるだろうか?
また、自分にとってベストなセットバックはどれ位なのだろうか?
それらの答えは、「自分の板」と「自分がどんなことをしたいか」によって決まる。
※本記事では、レギュラーの場合を前提に説明しているので、グーフィーの人は左右を入れかえて解釈して欲しい。
セットバックの定義
セットバックとは、スタンス幅の中心を板の中心からテール寄りにずらすこと。
両足をノーズとテールの中心に置く場合もあれば、少しテール寄りに置く場合もある。
この、少しテール寄りに置く場合をセットバックと呼ぶ。
前足からノーズまで長さと、後ろ足からテールまでの長さを比べて
後ろ足からテールまでの長さの方が短いセッティングだ。
(ここでの「長さ」は厳密には「有効エッジ」を使うが、パウダーボード等の特殊な板を除いて「板の見た目の長さ」でイメージしても問題ない。)
セットバックの効果
①ノーズを長く取れるので、ターンが安定する。特にターン後半に、前のめりになりにくい。これはメインスタンスのターンがしやすくなると言える。
②ノーズを長く取れるので、パウダーでの浮力を得やすい。つまり、パウダーが滑り易くなる。
③逆にスイッチでは滑りにくくなる。
セットバックを決める際の考慮事項
・板がどう設計されているか?
・自分のスタイル
・滑っている時の感触(自分の好み)
板がどう設計されているか?
スノーボードはあらかじめセットバックを考慮して作られていて、スペック表示にセットバック○○cmのように記載されている。0cmのものもある。
一般的には、メーカーの想定通りのセットバックにするのが良い。
そのセットバックで使う前提で設計されているからだ。
勿論、乗り心地に合わせて自分で調節することもできる。
セットバックは少しややこしいので、まずは一番分かりやすい部分から順に押さえていこう!
ツインチップの板で、セットバック無し(センタースタンス)であれば、どんな状況か分かりやすいと思う。
この状態からスタンス幅を変えずにセットバックを入れるには、バインディングを取り付ける左右のビス穴を均等に後ろにずらせばよい。
ビス穴の幅は、2cmなので例えば「左右それぞれ1列後ろにバインディングの取り付け位置をずらす」とセットバック2cmとなる。
これが、「自分でバインディングの取り付け位置を調節してセットバックを入れる方法」だ。
次に、板がセットバックを前提に設計されている場合をみていく。
一般的にツインチップの板はセットバック無しで設計されているのに対して、
ディレクショナルの板はセットバックを前提に設計されている。
(ビス穴自体がテール寄りに配置されていたり、推奨取り付け位置がテール寄りにあったり。)
この場合、まずは推奨取り付け位置にバインディングを取り付ける。
推奨取り付け位置であることを示すマークがないかどうか、ビス穴の周りをよく見てみよう。
こうすることで、スタンス幅とセットバックが推奨の値になる。
例えば、スタンス幅54cm、セットバック1cmのような表示がスペック表に乗っているハズだ。板自体に書かれていることも多い。
以下、このスタンス幅54cm、セットバック1cmの推奨スペックを持つ場合を例に考えていく。
この状態から、追加で「自分でセットバックを入れる」(ツインチップの板の例で確認した方法)こともできる。
スタンス幅を変えずにセットバックを増やすには、左右の取り付けるビス穴を均等に後ろにずらせばよい。
1列ずらすごとに2cmのセットバックが追加される。
例えば、左右1列ずつずらせば元々のセットバック1cmに2cmが追加され「セットバック1+2=3cm」となる。
また、スタンス幅を変えることでもセットバックが変化する。
例えば、後ろのバインディングを取り付けるビス穴を1列後ろにずらすと、スタンス幅は54+2=56cmとなる。
この時、スタンス幅の中心は前足から27cm(54÷2)だったものが28cm(56÷2)となり、セットバックが1cm増えることになる。
つまりこの場合、セットバックは1+1=2cmとなる。
前のバインディングを取り付けるビス穴を1列前にずらした場合も、スタンス幅は54+2=56cmになる。
ただ、この場合はスタンス幅の中心は後ろ足から27cmだったものが28cmになり、セットバックが1cm減ることになる。
つまり、この場合は、セットバックは1-1=0cmとなる。
※前足と後足のバインディングを均等に内側又は外側にずらすと、スタンス幅の中心は移動しないので
セットバックを変更することなくスタンス幅を変えることができる。
自分のスタイル
どんな風に滑りたいかもセットバックの調整に影響を与える。
<フリースタイル>
フリースタイルなら、セットバックは0cmにするのが最も一般的だ。
そうすることで、スイッチが滑り易くなり、トリックなどもやりやすくなる。
フリースタイル用の板は、たいていがセットバック0cmで設計されている。
<オールラウンド>
・フリースタイル寄りの場合
フリースタイル寄りのオールラウンドボードはオールラウンドボードの特徴を持ちつつフリースタイルの特徴を多く取り入れたものになっている。
セットバックはほとんどがフリースタイルボードと同じように0cmで設計されている。
これにより、スイッチフリーランとトリックのやりやすさが確保される。
・フリースタイル寄りではない場合
メインスタンスでのターン性能を重視して、セットバックが少し取られているものが多い。
セットバックを多くとりすぎるとスイッチやトリックがやりにくくなるので、
それらを最大限犠牲にせず、セットバックの良さも十分取り入れられる設計になっている。
セットバックをとることで、ノーズを浮かせやすくなり、パウダーでの浮力を得やすくなる。
まとめ
他のセッティングと同じように、セットバックも最終的には試行錯誤して自分のやりたい滑りにフィットするものを見つけなければならない。
試行錯誤の初期段階では、セットバックは板の推奨セットバックに設定して試してみる(最初は2cm以上のセットバックは入れない方が無難)。
オールラウンド用の板であれば設計上のセットバックはたいていその範囲に収まっているので、バインディングの推奨取り付け位置に基づいてセットバックを決めればOK。
スイッチでの滑りやトリックも十分こなしたくてツインチップの板を手に入れたなら、基本はセットバック無しで始める。
そして、試行錯誤の際は
・メインスタンスのターン性能を重視するほど、セットバックを多くとり
・スイッチのターン性能を重視するほど、セットバックは少なくする
ということを頭の片隅に置いておこう!
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