グラトリ・キッカー・ジブの前提となる2つの基本動作(フレックス編)
グラトリをやったり、キッカーでジャンプしている人はどんな動きをマスターしているのだろうか?
実は大事な2つの動作があり、その動作をマスターするにはどうすればいいのかを説明しています。
・オーリーの前提となる板のしなり(フレックス)や、
・回転系の技の前提となる板のねじれ(トーション)
を扱うためにおすすめの練習法と最適な順番について詳しく知りたい人は是非見てください!
本記事では、動画のステップ1と2(最初から3:22まで)を詳しく解説・補足しています。
グラトリをやったり、キッカーでジャンプするためには大事な2つの動作があり、
その動作をマスターするにはどうすればいいのかを説明していく。
板には反発力が備わっていて、その反発力は2つのパターンで利用できる。
まず一つ目は、板のしなり(フレックス)と呼ばれるものだ。
スノーボードの板を触ったことがある人なら、知っていると思うけど、板はしなる。
このしなりは、板のフレックスと呼ばれていて基本的に雪面を押す、つまりジャンプする力として利用できる。
二つ目は、板のねじれ(トーション)と呼ばれるもの。
板のねじれ(トーション)は、最初はあまり意識することがないかもしれない部分だ。
だからこそ、知っておいてほしい。回転系の技(180とか360とか)をやりたい場合、トーションの扱いを上手くなって、
板に直接回転力を与えられるようになると簡単に板を回すことができる。
目線が大事というのは否定しないけど、そちらを見ることによって肩、腰がひねられるという意味と解釈してほしい。
上半身の動かしかたは別の記事で説明する。
この2つの板の反発力をうまく扱えるようになれば板を使ってジャンプしたり、板を回してそのまま自分も回ることができる。
この記事では、まず板に関する事だけに絞って説明していく。
~板のフレックスを上手く扱えるようになるために~
スノーボードの技(トリックとも呼ばれる)の基本はオーリーだと、聞いたことがあるかもしれない。
ちなみに、オーリーとは「板のしなり(フレックス)を利用してジャンプする技」だ。
つまり、オーリーするには、板のフレックスを利用しなくてはならない。
これが、トリックをこれから身に着けていこうって人には意外と難しかったりする。
それもそのはずで、オーリーは板のフレックスをジャンプと組み合わせるという複雑な動きだからだ。
もちろん、飲み込みが早い人は何の苦労もなくマスターしてしまうかもしれない。
ここでは、少しオーリーがしっくりこないという感覚を持っている人やこれからオーリーの練習を始めたい人に、ぜひ試してもらいたいやり方を紹介する。
もうオーリーはマスターしている人にとっても、何かしらのヒントになれば幸いだ。
ステップ1
①まずはフレックスを利用するというよりも、感じてみる
左右に板をしならせてみよう。板のしなりを感じることができるはずだ。
ある程度色々な板を使ったことがあれば、明らかに反発力(フレックス)に違いがあることが分かるようになる。
これが強ければ高くジャンプでき、弱ければ小さな力でフレックスを利用できる。
ショップに行くと、初心者は柔らかい板を薦められると思うけど、それは小さな力で板を扱えるから、
フレックスを利用するための筋力が弱かったり、板の扱いに不慣れな人に向いているからだ。
板をしならせるという話に戻そう。何度か左右に板をしならせてみると、何か気づかないだろうか?
たぶん、ノーズの方がしならせやすい人と、テールの方がしならせやすい人に分かれると思う。
ちなみに、僕はノーズの方がしならせやすかったんだけど
後々ノーズを使った技の方が飲み込みが早かった。
だから、まだスタンスを固めていないなら、扱いやすいほうがテールになるようにスタンスを決定してもいいかもしれない。
オーリーなど、テールのしなりを使う機会が一番多いというのがその理由だ。
もちろん、それはアイデアの一つなので、すでにスタンスが決まっている人は変える必要はないと思う。
(僕の経験上、そういう事もあったよという参考情報として考えてほしい。)
ただ、スタンスを変えるほど大きな問題ではなかったとしても、グラトリのプレスやジブアイテムでテールに乗るかノーズに乗るかという部分では
しならせやすい方からトライするのがおススメだ。
例えば、ノーズをしならせやすいと感じているなら、まずはノーズプレスとかノーズスライドからマスターして、
その経験(感覚とかやり方とか)を他の技に生かすようにしよう!
②板をしならせて止まってみる
もう、ここまできたら板のしなりを利用していると言っても過言ではないのでは?
実際、しならせて止まった状態から・・・
単純に板を元に戻すんじゃなくて、ジャンプすれば、それは立派なオーリーだ。
(オーリーとは板のしなりを利用してジャンプする技だったよね!)
後は、手の振り上げ方とか、姿勢とかをオーリーっぽく調整していけばいいだけで、それは正直すぐできる。
オーリーに苦戦しているなら、以上のように
止まって左右に板をしならせ、フレックスを感じる
↓
板をしならせたまま止まる(これも最初は大変かもしれないけど、いきなりオーリーよりは簡単だ)
↓
板をしならせたて止まった状態から、ジャンプする
これでオーリーはできたことになる。あとは、姿勢をそれらしくして、滑りながらオーリーする段階に進めばいい!
※ちなみに、この板をしならせて止まるという動きはグラウンドトリックやボックスのプレスをやる上でも
かなり役に立つ。(詳しい説明は追加する予定なので、もう少し待ってほしい。)
プレスの場合、上半身と板の位置関係が大事になってくるので(技にどのように入るかによって位置関係が変わってくる)
もし余裕が出てきたら、上半身の形も意識しながらやるようにしよう。
その上半身の形のパターンは3通りあって、
・左肩が胸の前、右肩が背中の後ろ
・左肩が背中の後ろ、右肩が胸の前
・両肩を結んだラインと板が平行
さらに、ノーズをしならせるかテールをしならせるか(しならせない場合でも、左足に乗るか右足に乗るか)で2通りある。
だから、上半身と板の位置関係は全部で3×2=6通りあり、それぞれ
バックサイドテールプレス(左肩が胸の前、右肩が背中の後ろ、テールをしならせる)
バックサイドノーズプレス(左肩が胸の前、右肩が背中の後ろ、ノーズをしならせる)
フロントサイドテールプレス(左肩が背中の後ろ、右肩が胸の前、テールをしならせる)
フロントサイドノーズプレス(左肩が背中の後ろ、右肩が胸の前、ノーズをしならせる)
をやるための基本形になっている。
また、両肩を結んだラインと板が平行の形はテールに乗るかノーズに乗るかで2種類あり、
バックサイドテールプレス・ノーズプレス、フロントサイドテールプレス・ノーズプレスの全てに使える。
例外はあるけれど、上半身が
・左肩が胸の前、右肩が背中の後ろ
・左肩が背中の後ろ、右肩が胸の前
の形は、レギュラー・イン・レギュラー・アウトの時によく使われ(シフトして技に入る)。
・両肩を結んだラインと板が平行
の形は、レギュラー・イン・スイッチ・アウトの時によく使われる(板を回しつつ技に入る)。
いっきに全部マスターするのは、結構大変だから、自分のやりたい技を一つ選んでそれを練習してみよう。
例えば、ボックスに正面を向いて乗り(バックサイドボードスライド)、テールプレス(プレスしなくても、テールで乗る)をしたいなら、
テールをしならせて、左肩が胸の前、右肩が背中の後ろになるように上半身をひねって止まってみよう。
・オーリーして板が浮いている瞬間に、上半身をシフトさせることでその体勢を取れて、
・雪面に降りた後に、その体勢のまま安定していられる
ようになれば、グラトリのプレスもボックスもすぐできることを約束する。
③板をしならせて止まった状態を連続的に左右に繰り返す
これができれば、フレックスの扱いはいったん完了といってもいい。
板のフレックス(しなり)を利用してジャンプできて、板をしならせたまま止まれて、さらにそのしなりを利用してジャンプできるということなのでフレックスに慣れ親しんでいる証拠だ。
体の軸は中心に残したまま、板の方を左右にずらすと言ったら分かりやすいかもしれない。
ステップ2
①止まってオーリーの形を確認する
まだ、ステップ1-③の内容が上手くいかなくても②までできるようになっていればオーリーをマスターする準備はできている!
もちろん、止まってやる必要はなくて、いきなり滑りながらトライしても全く大丈夫だけど・・・
もし、つまづいたら止まって慣れてみるのがいいと思う。
オーリーを言葉で説明すると、
・まずは腰を落として姿勢を低くする。
・次に低くした姿勢を伸び上がらせながら、前手を上に持ち上げると同時に前足を持ち上げ板をしならせる。この時、できるだけ体は地面に対して垂直になっているようにしたほうがいい。
・板を十分しならせたら、そのしなりを利用してジャンプだ。
板が雪面を押している感覚を覚えておこう!
②次に滑りながらオーリーしてみる
最初は緩斜面の雪面がきれいな場所でゆっくり滑りながら試してみよう。
そして徐々に、もう少し斜度を急にしたり、スピードを上げていく。
パークアイテムをやってみたいなら、自分の好きなポイントで、安定的にオーリーをかけられるようになる必要がある。
さらに何か技をやるなら、オーリーと同時に他の動きもしなければならない。だから、オーリーは簡単に自然にできるようになっておかないといけないのだ。
オーリーに慣れてきたら、次のようなことに挑戦してみることをおススメする。
狙った場所でオーリーをかけられるようになることが目的だ。
・ゲレンデに転がっている雪の塊を飛び越えてみる。
・ゲレンデの斜度が変化しているところでオーリーしてみる。
・雪面のエッジ跡をキッカーのリップに見立ててオーリーしてみる。
きたる瞬間への準備を整えておこう!
それと、結構ありがちなのがオーリーができたら他の技ばかり練習してしまって、オーリー単体ではやらなくなってしまうこと。
それを防止するために、「バインディングをつけて滑り始める時は毎回オーリーを1回入れる」などの習慣を自分なりに決めておくといいと思う。
そうすれば、オーリーを忘れることもないし精度も上がっていく。
③板のフレックスの扱いに慣れるために、ワンフットオーリーをマスターする
ワンフットオーリーとはその名の通り、バインディングに片足だけをつけた状態で板のフレックスを利用してジャンプすること。
最初は、リフト乗り場が空いている時に、止まってやってみるのが感覚をつかみやすい。
次に滑りながらトライしてもらいたいんだけど、
リフトから降りた直後が、ワンフットオーリーをやる絶好のチャンスだ!
リフトを降りて、ただスケーティングしてバインディングをつけるのと、
リフトを降りたら、ワンフットオーリーをしてフレックスの扱いに慣れるのとでは・・・
上達が早いのはどちらか明白だと思う。
同じ板なのに、バインディングをつけた状態よりも短く板を利用するので、より硬く感じるはずだ。
一枚の板で、フレックスの強度の違いも感じることができる。
これで板のフレックスの扱いに関する説明は終了だ!
僕がオーリーをマスターしようとしていた時は、これらの何も知らず・・・滑りながら試してみてなかなかいい感触をつかむことができなかった。
そんな思いはしてもらいたくないので、ぜひ参考にしてすんなりマスターできることを祈っている!
もし、何か分からないことや知りたいことがあったら、お問い合わせのページから質問して欲しい。僕の知る限りの情報をお伝えします!!
はじめまして。サイトを拝見いたしました。とても分かりやすく、参考になります。
さっそく質問なのですが、トーションをかける際やターン、エッジを立てる際に踵を上げる動作をするときに、ブーツ内で踵が浮いてしまいます。いくつかブーツを試してみましたが変わらずなかったのですが、これはブーツと足が合っていないのでしょうか?もしくはブーツ紐の締め方も問題なのでしょうか?
コメントありがとうございます!
足の形は個人差が大きく(幅の広さや甲の高さは人によってかなり違います)、ピッタリのブーツを探すのは結構大変です。
滑っていて気になる程浮いてしまうなら、ブーツと足が合っていない気がします。
アキレス腱の部分に少しでっぱりを作って踵の浮きを押さえる構造を重視しているのが、「サロモン」と「バートン」なので仮に試していなければ試してみて下さい。
もしくは、踵パットやアキレス腱の部分に取り付けるパットが売っているのでそれも試すと良いかもしれません。
最終手段は「ディーラックス」の熱成形ソールでソールを自分の足の形に作る方法があります。
また、一つの考え方として「踵が浮かないように滑る練習をする」というものがあります。スケートボードやサーフィンではバインディングがないのにターンできるのを考えると確かにそれも一理あると思います。
但し、グラトリを練習したり等の上達過程ではどうしても無理な力は加わってしまうものなので解決策として即効性は弱いです。
紐の締め方は、全力で締める位しか現状では思いつきません(試してみたとは思いますが)。