スノーボード3つの基本構造(キャンバー、ロッカー、フラット)とハイブリッド
※本記事は動画の内容を文章で説明したものになっています。
お店でスノーボードを選ぶ時、長さとフレックス(固さ)に加えて「構造」が表示されていることが多い。
長さは、自分の身長と比べたり実際手に取って横に立ててみればどれくらいの長さか感じやすい。
固さも、基本的には柔らかいか固いかなのでイメージしやすいし、実際曲げてみて確かめることもできる。
でも、例えば「ハイブリッドキャンバー構造」と表示されていても、
知識が無ければ何のことか分からないと思う。
ボードを眺めてみても、他の構造とすぐに分かる程の差はあまり見て取れない。
実際に平らな机などに置いて、横からじっくり見ないと違いが分からない。
(横から見ると構造が分かりやすいので、本記事では「横から見た図」をメインで使用する。)
仮にそのようにして、違いが分かっても、滑りにどのような影響があるかもイメージしやすいとは言い難い。
そこで本記事では、板選びに役立つ「構造ごとの特徴」を紹介する。
すぐに板を買う予定がない人も、今使っている板の特徴を把握して、滑りに役立てよう!
以下の構造の特徴は、他の条件(長さ、固さ等)が一定の場合にどんな違いがあるかを説明したものということに注意しておいてほしい。
キャンバー
ひと昔前までは、ほとんど全ての板がキャンバー構造だった。
ということは、昔の初心者はほぼ全員キャンバー構造の板で上達したことになる。
そういう意味での信頼性は一番だろう。
キャンバー構造は以下の図のような形状になっている。
この形状により、「通常状態で地面に接している点に」より強い圧力がかかる。
これが、強いエッジグリップを生み出すので、切れのあるターンや安定性が強みになっている。
また、板にあらかじめ張りが持たせてあるので、板をしならせた時に元に戻ろうとする力が強い。
これが、キャンバー構造が高反発な理由だ。
板選びで注意しておかなければならない点は、
強みと弱みは表裏一体で、完璧な「いいとこどり」は諦めなければならないこと。
つまり、キャンバーの強みが逆にマイナスに作用することもある。
強いエッジグリップは、初心者にとって逆エッジになりやすいというマイナス面がある。
また、高反発であるため、板をしならせるのが難しい。
プレスなどのグラトリも、慣れていない人にとってはやりずらい。
ロッカー(リバースキャンバー)
ロッカー構造は以下のように、板の中心からノーズ、テールに向かって反りあがった形をしている。
この形状により、板の中心に最も強い圧力がかかる。
これは、板を回転させやすいという効果がある。
また、板の中心からノーズ、テールに向かって板が反りあがっているので、
エッジが引っかかりにくく、板をしならせやすい。
※板の特徴を調べたり、お店で表示を見たり、店員さんと話すと、「操作性」という単語がおそらく出てくる。
ぼやっとしているけど、あまり深く考えずに
上記のロッカー構造の長所を総称して操作性が高いと表現されていると思っておいて間違いない。
また、ノーズとテールが反りあがっている形状から、
パウダースノーを滑る際に「浮力を得やすく滑り易い」といういい点もある。
ロッカー構造のマイナス面は、キャンバー構造と同じように強みがあだになる場合だ。
板を回転させやすいということは、エッジグリップ力が小さいので、安定性や切れのあるターンには向いていない。
しならせやすいということは、反発力が小さくなってしまう。
フラット
フラット構造は以下のような形状になっている。
この構造により、体重をエッジ全体に均等に乗せていることになる。
キャンバー構造と、ロッカー構造の中間のような体重のかかり方になっているので、特徴も中間的なものになる。
つまり、
・キャンバーよりもエッジが引っかかりにくく、
・ロッカーよりも安定している。
ただし、
・キャンバーよりもエッジグリップ力が弱く、
・ロッカーよりも操作性が低い。
反発力に関しても、中間的位置にあり
キャンバーより低反発だが、ロッカーよりも高反発だ。
以上の「キャンバー」「ロッカー」「フラット」構造の3つが特徴を押さえておけば、
それらを組み合わせた時にどんな効果があるか分かるようになる。
ハイブリッド
キャンバー、ロッカー、フラット構造を組み合わせた構造をしているのがハイブリッドボード。
基本の3種類の特徴を分かっていれば、ハイブリッドといえども難しいことはないので安心して大丈夫!
組合わせ方と組み合わせる割合を変えれば無限通りの構造ができてしまうけど、
以下に挙げる典型的な組み合わせを押さえておけば十分。
ハイブリッドキャンバー
ノーズとテール部分のロッカー構造は経験が浅い人にとってターンしやすい。
また、パウダー滑走時の浮力を確保する効果もある。
バインディングの間のキャンバー構造が安定性(エッジグリップ力)と反発力を高めてくれる。
ハイブリッドロッカー(ダブルキャンバー)
ノーズとテール部分のキャンバー構造が反発力とエッジグリップ力を高め、
バインディングの間のロッカー構造がルーズな乗り心地とパウダーでの浮力を確保している。
フラットロッカー
バインディングの間のフラット構造で安定感(エッジグリップ力)を確保し、
テールとノーズのロッカー構造でエッジが引っかかることを少なくし、ターン入門がしやすくなる。
まとめ~初心者にとって最適の構造は?~
基本3構造の中から選ぶなら
どの構造も一長一短があるので、どんな前提に立つかで決めよう!
・キャンバー
ターンのレベルを一定以上まで上げることを第一に考えて板を選ぶ場合。
・ロッカー
エッジのひっかかりをできるだけ抑え、快適にターンをこなせるところまで最短で進みたい場合。
・フラット
キャンバーとロッカーの中間の考え方を持っている場合。
ハイブリッド構造の中から選ぶなら
フラットロッカー(ロッカー、フラット、ロッカー)構造、または
ハイブリットキャンバー(ロッカー、キャンバー、ロッカー)が初心者に適している。
バインディングの間のフラット又はキャンバー構造で安定感を確保し、
テールとノーズのロッカー構造でエッジが引っかかることを少なくし、
ターンがやりやすくなるというのが理由だ。
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